2009年09月20日

F/60歳、70歳の透き通った青春



  青春とは臆病さを退ける勇気、
  安きにつく気持を振り捨てる冒険を意味する。
     … … …
  年を重ねただけで人は老いない。
  理想を失うとき初めて老いる。


サムエル・ウルマンの詩集「青春とは、心の若さである。」の冒頭に
ある「青春」からの抜粋です。作山宗久゠訳。来月10月15日(木)は
この詩集を読みます。各自、お好みの3編を選び、朗読してもらいま
す。選んだ詩編がほかの方と重なってもかまいません。それぞれの
思いを込め、それぞれの読み方で味わい尽くしましょう。

  六〇歳であろうと一六歳であろうと人の胸には、
  驚異に魅かれる心、おさなごのような未知への探求心、
  人生への興味の歓喜がある。

                      (同上「青春」より)

ユダヤ人社会に生きた幻の詩人。正義を信じ、平和を愛し、虐げら
れた者への限りない慈しみにあふれた幾多の業績をもつ人物。
80歳をすぎたその高潔なこころにひろがる透き通った風景に、ひと
ときこころを遊ばせましょう。
若い時代を見送ったわたしたちに対する、あたたかく清新なメッセ
ージがここにあり、胸にひびきます。第86回《どんぐり》は、それを
交響させあう時空にしたいと思います。

※サムエル・ウルマン「青春とは、
心の若さである。」作山宗久゠訳、角川文庫/TBSブリタニカ

※上の画像はウラジロヨウラクです。



  


Posted by 〔がの〕さん at 12:16Comments(0)ATTENTION

2009年08月07日

F/争いが毀していくもの、人から奪っていくもの


8月の《どんぐり》読書会はお休みです。
ただし、定例の第三木曜日(20日)は、午後1時30分より
有志による昼食懇親会をおこないます。
よろしかったらどうぞご出席ください。
(ご自慢の一品料理などを持ち寄りながら)
9月17日(木)は通例どおり午後1時30分より、
すすき野コミュニティハウス研修室にて。

わたしたちの読書会は、たくさんの作品を次つぎに読む
ことを目的にはしておりません。時には立ち止まって考え合い、
他の角度から味わい直すことも多々。
という次第で、前回はショーロホフの短篇集「人間の運命」から
「他人の血」を読み、血縁の強さ・弱さをみんなで話題にしました。
9月は、もう一度この作家の作品に戻って、
夫の二人いる女子持ちの男の2篇を読みます。
戦争・内乱が毀していく庶民の生活、それが
引きちぎっていくもの、負わせるものの意味をあらためて
考えてみましょう。

時いまは8月。忘じがたきヒロシマ、ナガサキ…。
日本の8月は世界の平和への祈りがもっとも高まるとき。
峠三吉の詩「ちちをかえせ ははをかえせ…」
原民喜の詩「永遠(とわ)のみどり」…、などを
戦争のない世界への祈り、核廃絶の願いをこめて
声に出して読みあげる季節。
与謝野晶子「君死にたまふこと勿れ」
茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」も。

微力なわたしたちにいまできることは何か、についても
この機会に考えてみたい。

※上の花の画像は「バイカウツギ」

  


Posted by 〔がの〕さん at 14:33Comments(0)ATTENTION

2009年07月03日

F/ショーロホフ「人間の運命」


どんぐり読書会=7月度∕第85回
 ロシアの人びとが味わった革命の痛みと、そこにじっと耐えつつ生きる素朴な人間たちの真実と人間愛を描いた大長編叙事詩「静かなるドン」「開かれた処女地」で知られる作家の中短編集「人間の運命」。米川正夫・漆原隆子゠訳、角川文庫。

 ドン・コサックの生活そのままが、淡々と、しかし愛情深く描かれている作品群。とどめようもなく流れる大河にも似て、どうにもならぬ運命、苦悩に満ちた運命を生きる貧しい人たち。鉄のように強く、雄々しく、また、苦痛をかみ殺して楽しげに、けなげに…。それは哀しいまでに美しく、印象あざやかに読むものの胸に突き刺さる。

 所収の五編それぞれが珠玉のような好編だが、今回はこの中から「夫の二人いる女」「他人の血」を中心に読み、話し合ってみましょう。
7月16日(木) 午後1時30分より、すすき野コミュニティハウスにて。

※画像の花は「レンゲショウマ」、奥多摩・御岳山にて



  


Posted by 〔がの〕さん at 14:32Comments(4)ATTENTION